中学生と耽美な出会い The Yellow Monkey / Smile
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中学生の頃、夜の楽しみはギターの練習をすることと音楽番組を観ることだった。
筆者は神奈川県出身であり、tvk(テレビ神奈川)では音楽番組が多く放送されていた。
特に好きで観ていたのが、
・ライヴ映像をいっぱい放送する「LIVE Y」
・アーティストをゲストにトークをする「MUSIC CLIQUE」
・MV/PVをひたすら放送する「ミュートマジャパン(Music Tomato JAPAN)」
という番組。
それらを観て色んなミュージシャンを知った。
当時はまだハッキリと何色かも定まっていないロックビギナーな中学生にとって、それらの番組で私の音楽性の方向を案内してもらっていた感じだ。
94~95年、気付いた頃にはデビュー当時の幻想的なラルクにどっぷりハマっていたのだが、もう一つ強烈な存在感を放っていたのがThe Yellow Monkeyだった。
特に吉井和哉がLIVE Yによく出ていた覚えがある。それも一時期メイン的な感じでロケっぽいことをしていたような覚えがある、たぶん。
当時は3rdアルバムである『jaguar hard pain』がリリースされて「悲しきASIAN BOY」や「ROCK STAR」がガンガン流れていた。
そこでThe Yellow Monkeyを知ったのだが、根本にある妖艶なグラムロックは何だか少し大人に聴こえていた。
それからTV露出は増えていき、キー局番組のエンディング曲などでもThe Yellow Monkeyを観るようになってきた。
一丁前に「ついにブレイクか!?」なんてチューペットを啜りながら思ったのを憶えている。
当時観ていたアーティストは、ブレイクしていない方々が大半だったのでキー局に出ていると興奮なのか何なのか心が騒いだ。
そんな95年2月に発売された4thアルバム『Smile』。
このアルバムでThe Yellow Monkeyはブレイクした。
キャッチーで特有なグラムロックの官能的な起伏とギャウンギャウン鳴るギターサウンドに、お母さんが買ってきたトレーナー姿の中坊は少し大人な快感を覚えてしまった。
今でも1曲目のSEからの『マリーにくちづけ』への流れを聴くと、興奮と同時に当時の自分に戻る。
次から次へと色んなロックの扉が開き始めていた多感な時期にこのアルバムを聴けたのはベストなんじゃないかと思える。
『Smile』のキャッチーさが"年"に合っていたような気がする。
この頃のイエモンの曲はギターとベースのユニゾンがポップ感を増幅させている様に思え、自分もそれに合わせて弾いてアナーキーな未来を夢見ていた。
そういえばEMMAとHEESEYのGrecoモデルができたのもこの頃だったと思う。
GrecoのApolloっていうシルバーのギターね。
後にそれ以前&以降のアルバムも聴いて、そのポップさは特別なんだと感じた。
程なくしてSuedeを知り、The Yellow Monkeyがオマージュしていることも知った。
そこからT-REXやDavid Bowieに遡ることになり「全てはここに繋がっているのか」と扉は更に開けていった。
続く5th『FOUR SEASONS』でオリコン1位を獲り本格的なブレイク。
しばらく経つとThe Yellow Monkeyは和製感を強調した独特な個性のバンドへと進化していったように思う。
官能的で耽美で退廃的でありつつも、元々あった独特な日本語詩の個性が更に強くなっていったような。
それは洋楽の影響を強く受けた音楽性でありながら、言葉でカッコつけるありふれた日本のバンドと一線を画すものとも受け取られる。
いくら愛を叫んだって、時は無情に過ぎていく。
日本のバンドは日本人らしく開き直ったほうがカッコ良いのかもしれない。
思いっきりSuedeって感じの曲もあったけど。
背伸びしたままではグラグラ揺れてしまうから、保っていられないかも。
と、余計なことまで考えさせられ、また記憶を甦させられる『Smile』。
何十年と時間が経っても色褪せないキャッチーな官能は、一人の少年を更にロックの道へと進ませた一枚となった。
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