X JAPAN – DAHLIA

公開日: 更新日:

1996年にリリースされたX JAPANの『DAHLIA』。
オリジナルフルアルバムとしては4th。
5年4ヶ月ぶりのアルバムで、YOSHIKIのヘルニアによる遅延や妥協を許さない製作過程から費用捻出への奔走など様々なトラブルがありレコーディング期間は3年以上と言われている。

X JAPANのラストアルバムとなってしまった『DAHLIA』だが、非常に緻密な内容でバラードの多い、そしてこれまでとは異なる新たなXを感じたアルバムだった。

X JAPAN DAHLIA

収録曲は

  1. DAHLIA
  2. SCARS
  3. Longing ~跡切れたmelody~
  4. Rusty Nail
  5. White Poem I
  6. CRUCIFY MY LOVE
  7. Tears
  8. WRIGGLE
  9. DRAIN
  10. Forever Love (Acoustic Version)

後にシングルカットされたSCARSを含めて10曲中7曲がシングルという構成になっているベスト盤的アルバムでもある。

元々ジャパメタ要素が苦手な私はX JAPANもそこまでハマって聴いてこなかった。
hideのソロは好んで聴いていたが、Xに関しては聴いてものめり込むことはなく他のV系等のバンドを追いかけていた。
それと同時に当時はUSグランジ/オルタナムーブメントの真っ只中である。
『DAHLIA』製作中にカート・コバーンは自殺したが、高校生の私はSmashing Pumpkinsの『Mellon Collie and the Infinite Sadness』に夢中だった。

そのようにXは好みの範囲から少しズレていたのだが、『DAHLIA』はその時代背景を映していたように重く感じられ、今も聴いているアルバムだ。
YOSHIKIやHIDEがそれらの音楽を好んで聴いていたということはあるが、同世代の音楽に刺激を与え・与えられ切磋琢磨しているようにも感じられた。
それがアルバムに表れており、これまでの荒々しいメタル前傾の姿勢からモダン要素が込められた分厚くカチッと構成されたミックスを受け入れられたのである。

YOSHIKIがヘルニアを再発したことで体調を鑑みた曲作りがされてきたこともあるが、全体的なテンポは落としつつもメタル要素は継続されながらユニゾンのバランスやサウンドと魅せ方はモダンなリフとして突き刺さってきた。
それを日本のメジャーでXがやることによって時代が動いた気がした。
オルタナティヴ要素が深く入ってきたことにより、間口は広げられたのかは分からない。
変わってしまったと感じた人もいるかもしれない。
だが個人的には、より世界的で個性的なバンドになったんだなと確信した。

キッスでもメタリカでもアイアンメイデンでもない。
ニルヴァーナでもないし、マンソンでもない。
これが新たなX JAPANなんだと。

メンバーからすると当時の記憶は非常に過酷で終焉を迎える前兆を感じていたらしい。
結果、ツアー終了後にToshiが脱退を表明。
そして解散。

『DAHLIA』を聴いた時に感じた未来のXは、期待とは異なった。

解散から10年後、X JAPANは再結成したが現時点でアルバムのリリースはしていない。
シングルはリリースされているものの、YOSHIKIは新バンド結成など課外活動が続いている。ToshiもX関連の問題を生じているようで、なんだか『DAHLIA』製作中と被る。
HIDEのいないXに未だ少し違和感を抱くが、しかし「I.V.」は最高にクールだった。
PATAとHeathのプレイも最高にカッコよかった。
それは『DAHLIA』の延長線上にある間違いなくX JAPANであった。

だからこそ今のX JAPANの在り方に疑問を感じながらも、期待は薄まらない。

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執筆者:Arlie

アーリー、闇属性。 猫と競馬とテキーラが好き。 音楽はロックであれば何でも聴くが、たまに毒を吐く。実はアイドルも好き。

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