1987年、シアトルで結成されたAlice in Chains（アリス・イン・チェインズ）。

メンバーは、
Vo&Gt レイン・ステイリー
Gt&Vo ジェリー・カントレル
Ba マイク・スター
Dr ショーン・キニー

各メンバーいくつかのバンドを経てAlice in Chainsを結成。
90年にアルバム『Facelift』でデビュー。

メタルとグランジの融合

同郷で同世代でもあるNirvanaやPearl Jamらとグランジとして括られているが、Alice in Chainsはメタル要素が強く図太いヘヴィなギターリフが特徴。
重く暗いサウンドが渦巻き、レイン・ステイリーとジェリー・カントレルの魔術を唱えるかのようなツインヴォーカルが独特な世界観を作り上げる。

この渦巻きが独特でありAlice in Chainsなのである。

どのバンドもデビュー作にはそのバンドの核が詰まっていると思える。（商業的な路線に変更させられる場合もあるが）
これまで活動してきたバンドの本質的な要素で埋め尽くした1stは、バンドの思想や背景、生い立ちを感じることができる。

まさに『Facelift』はAlice in Chainsの核が詰まった彼らの代表作の一つ。
発売後すぐに売れたわけではないが、徐々に売上が伸びていき商業的な成功を収めた。

Alice in Chains / Facelift

リードトラックの①『We Die Young』は重厚なギターリフとレイン・ステイリーの変幻自在なヴォーカルが特徴的な、まさにAlice in Chainsという曲。
重いギターリフのヘヴィなサウンドだが疾走感すら感じるハードロック。
バンドにとって初めて公式にレコーディングされた曲で、この曲のヒットでその後の道を切り開いていった。

MTVでヘヴィーローテーションされた②『Man in the Box』は刻み込むリズムに乗るレイン・ステイリーの伸びやかな歌声が印象的。
最初は何か魔術を唱えている。たぶん黒魔術。
レイン・ステイリーといえばこの曲のような咆哮が思い出される。

ツインヴォーカルが印象的な③『Sea of Sorrow』はシングルカットされアルバムの売り上げを伸ばす重要な曲となった。

④『Bleed The Freak』や⑦『It Ain't Like That』はヴァンヘイレンのようなハードロックにAlice in Chainsらしいヘヴィネスが絡みつく。
美しいアルペジオの中に不気味さが宿る⑤『I Can't Remember』、オリエンタル調の⑥『Love,Hate,Love』、ダウナーなグランジメタルとも言える⑧『Sunshine』などAlice in Chainsの集大成と言ってもよい要素が表れている。
⑨『Put You Down』、⑪『I Know Somethin(Bout You)』ではExtreme？と思わせるようなヌーノベッテンコートのようなギターリフが印象的な”陽”を感じ取れる。ギタリストはそもそもギターキッズであり、ジェリー・カントレルもギターが大好きなロックファンなんだなと思わされる。
また⑪『I Know Somethin(Bout You)』はファンキーな曲であり、ファンクバンドをやっていたレイン・ステイリーの意外な一面が聴き取れる。

後に悲劇が起こってしまったAlice in Chainsだが、このデビューアルバム『Facelift』はバンドの「核」が詰め込まれている。グランジムーヴメントの幕開けの一端を担ったメタルアルバムである。

ちなみに、私は中学生の時にAlice in Chainsの帽子を被っていたのだが、京都の清水寺近くの土産屋のお兄さんに「おっ、君も好きなのかい？」と話しかけられた思い出がある。当時は『Alice in Chains』というバンド名の響きやバランスがとても好きでセンスを感じていた。当然、私もロックファンのキッズでした。

またジェーンズ・アディクションのデイヴ・ナヴァロとクリス・チェイニー、フー・ファイターズのテイラー・ホーキンス、スリップノットのコリィ・テイラーによる『Man in the Box』は必見。