響鳴する奇怪 Plastic Tree ─ Hide and Seek
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Plastic Treeは90年代から活動を続ける数少ないヴィジュアル系バンドだ。
93年に結成され、97年にメジャーデビュー。
活動歴は30年近くだが、同時期にデビューしたバンドは次々に解散してしまった。
Plastic Treeは幾度かのドラマーの脱退・加入、インディーズ戻りとモチベーションの低下など紆余曲折あったがデビュー10年目にして日本武道館公演を行えるほどの地位を築いた。
当時のヴィジュアル系とは一線を画すオルタナティヴ
97年リリースのメジャー1stアルバム『Hide and Seek』。
生々しくリアルで危険なバンドサウンドとイノセントで時に猟奇的なヴォーカルという、当時のヴィジュアル系の王道を無視した独特な雰囲気が印象的であった。
LUNA SEAやGLAY、ラルクの流れからのキャッチーでキッチリ演奏するタイプが主流だったと思うが、次いでダーク&ゴシックや極端なメイク・スタイルを施す"ド"ヴィジュアル系だっただろうか。
サウンドはキッチリ作られ、クリアートーンと粒の揃った歪みの組み合わせが象徴的。
キャッチーなイントロで始まりキャッチーなサビが来る。
「ここだ!」というところで単音弾きでメロディアスなギターソロが入り、ブレイクも入り、キャッチーなイントロで終わる。
どのバンドもCMタイアップを狙っているかのようだった。
一方Plastic Treeは見た目はThe Cureのようなヴィジュアルで、曲がUS・UKからの流れを汲むグランジ/オルタナティヴであり、そこにダークでアヴァンギャルドな世界観を表していた。その世界観は主にUKと表現されることが多いと思うが、AKIRAのギターにはダイナミックで荒々しいUS性を濃く感じる。
キャッチーではあるのだがCMタイアップを狙っていないキャッチーさだ。
前者はメジャーである以上そこを狙わなければいけない必要はあるだろうが、インディーズバンドもそうであった。
『Hide and Seek』はワウの使い方も当時のヴィジュアル系の使い方とは異なる、むしろUS・UKロックからすると王道なのかもしれないが大胆に取り入れ、荒々しさとライヴ感のあるアルバムに仕上がっている。それはコテコテなV系ファンには受け入れられないだろうという程。
ポップな曲は、とても明るい曲なのだが、むしろ猟奇的な印象が強く表れる。
まるで鎖鎌を振り回しながら鼻歌を口ずさんで歩いている子供のようなサイコを感じるのだ。
洋画ホラーで言えば、薄暗い部屋で赤毛の子供が人形をナイフでメッタ刺しにしているような感じ。
表現すると気持ち悪いかもしれないが、ポジティヴなものです。
そんな事も想起させる力があるのが『Hide and Seek』の魅力であると個人的には思っています。
TAKASHIとTADASHIのドッシリとしたリズムにAKIRAのアヴァンギャルドなギター、内向的な世界観を表現する竜太朗の詩。
初期であるが故、当時のPlastic Treeが色濃く表れているのが1stアルバムでもある。
当時10代だった私は5歳年上のバンドメンバーから薦められて聴いたのだが、すぐにハマった。
ライヴへも行くようになり今でも大好きだ。
ギタリストとしてAKIRAが好きになりヌーノもWashburnもL-500も好きになった。
そして初めて聴いた『Hide and Seek』の衝撃も未だに鮮明に憶えている。
『痛い青』の不気味な始まり方。
『割れた窓』のスリリングなリフ。
『クローゼットチャイルド』の狂気性。
『トランスオレンジ』の爽やかな裏切り方。
『まひるの月』の「何そのリフ?」感
『水葬。』の渦巻くサイケ感。
これらの曲をライヴでやられると一段高く興奮してしまう。
名刺替わりの1stアルバムと言われるが、ここまで個性を強く主張されたアルバムはなかなか珍しい。
表現が多様過ぎるバンドや個性の薄いバンドが多いということもあるが、統一して調和されていることがバンドとしての醍醐味でもあり曲作りの上手さでもあると感じられました。
ただPlastic Treeといえば、パクリというものもありますが、それは否めません。
インディーズの頃も、その後も。
確かにあります。
それについては書くのをやめときます。
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