ジャンルレスってこういうこと ─ COALTAR OF THE DEEPERS / Come Over To The Deepend

公開日: 更新日:

ジャンルに囚われず、おもちゃ箱をひっくり返したような曲を作り続けるCOALTAR OF THE DEEPERS(コールター・オブ・ザ・ディーパーズ)。
ハードコア、スラッシュメタル、デスメタル、シューゲイザー、ニューウェイヴ、エレクトロニカ、ボサノヴァ…etc、ジャンルレスがジャンルなバンド。

中心人物のNARASAKIはRolling Stoneのインタビューで「ネッズ・アトミック・ダストビンとダイナソーJr.を足して2で割ったような音楽」がコンセプトであったと話している。確かに歪みながらもポップであるが、たまにナパーム・デスが顔を出してくる。目をバキバキにして。

激しさと浮遊感が混在する演奏にヘタウマな歌とデスヴォイスを乗せ、全体的なミックスはインディー系な雰囲気がずっと漂っている。
このサウンドが90年代オルタナファンの心を揺さぶるのだが、所々現れるポップス感が何だかんだ歌謡曲育ちの日本人の心にすんなり入り込むんじゃないかと思う。

91年に結成されたCOALTAR OF THE DEEPERS。
メンバーは脱退や加入を繰り返してきたが固定なのは2人。
Vo&Gt NARASAKI
Dr KANNO

サポートとして
Gt ナカヤマアキラ(Plastic Tree)
Gt&Ba Koji(COCOBAT)
Ba 村井研次郎(cali≠gari, CYCLE)
が参加している。

NARASAKIはBABY METALやももクロなどへの楽曲提供や、大槻ケンヂらとのバンド活動など近年はディーパーズ外活動が忙しいが、その楽曲センスは流石だと感じる。BABY METALの『ヘドバンギャー!!』はフェイヴァリットソングの一つです。

『Come Over To The Deepend』は2000年に発売された3rdアルバム。
音質やミックスに強いこだわりを持つNARASAKIは制作にものすごく長い時間をかけるらしいが、このアルバムはあまり時間をかけず、「その時にあった力を出した感じ」と言っている。あまり作り込んだ訳ではなく、当時ストックしていた曲や書き下ろした曲をすんなりアルバムにしたのだろう。
また、このアルバム製作時はベースにYOSHIO、女性ギタリストのICHIMAKIが在籍している。

COALTAR OF THE DEEPERS

1曲目『MARS ATTACKS!』はデスコア。
叫びまくっています。
この幕開けがディーパーズらしくあり遊び心が溢れていると感じます。

続く2曲目『UNLIMBER』も攻撃的なギターリフで始まるが、次のメロではNARASAKIの優しい声に切り替わりメロディアスな展開に。
危険な香りが漂うギターサウンドとリフで続くと思いきや、メロディアスになったりフワッとした間奏が入ってくる独特なオルタナ曲。

③『Hard Reality』は静と動が入り混じるスリリングでポップス要素も感じる曲。
サポートギタリストを務めるナカヤマアキラが所属するPlastic Treeにはこの曲にインスパイアされた『散リユク僕ラ』という曲がある。作曲はナカヤマアキラなので完全にディーパーズの影響を受けていることがわかる。NARASAKIはPlastic Treeのメンバーとも仲が良いので公認なのだろう。

④『Taste』は浮遊感漂うネオアコソング。
美しいサウンドと透き通るような歌声が響く。思わず『MARS ATTACKS!』とのギャップに笑ってしまう。
ディーパーズの音楽幅を表すことができている1曲でもある。

リードトラックの⑤『C/O/T/D』
疾走感のあるキャッチーなフレーズの人気曲。
荒々しいギターサウンドとダイナミックなドラムで、アルバムの中でも突出してライブ感のある曲。
ちなみにこの曲もPlastc Treeは『プラットホーム』という曲でフィーチャーしており、先に述べた『散リユク僕ラ』のカップリング曲。作曲は同じくナカヤマアキラ。ただ編曲にNARASAKIが参加しており公認というか仲間同士の意図があるのではないかとも感じる。ナカヤマアキラのギタープレイとサウンドはこの頃からディーパーズ化している。

⑥『Thunderbolt』はNARASAKIが言っていた「ネッズ・アトミック・ダストビンとダイナソーJr.を足して2で割ったような音楽」というコンセプトがハマっていると思う。
UKの曇り空とアメリカの土臭さも感じるようなグランジソングという印象。
そこに暖かさも感じる優しいアコギの音色がドラマティックな展開へ繋げる。

ネオアコmeetsシューゲイザーといった印象の⑦『Thrash Lives In Savagery』
クリアートーンが入るパートでは個人的に90年代の雰囲気を感じられる。
少年のようなNARASAKIの歌声がインパクトを残す。

⑧『AKI NO GYOUNINZAKA』もシューゲイズサウンド。切なさや儚さを感じるメロディーをバックにノイズが流れ、だんだんとノイズに蝕まれていく。
何となく死ぬときに見る走馬灯ってこんな感じなのかな?と思わされる。そんな情景/景色を見せてくれるような曲でほんのり心地良くさせてくれる。

ラストの⑨『SYNTHETIC SLIDE』は一転、デスメタル+インダストリアル+サイケ。
真空管を通した重低音が響きながらクリアートーンのアルペジオが不思議な感覚へ導く。個人的なタイトルは『ラリったゴジラ』
部屋を真っ暗にしてこの曲を聴いてたら危険信号。何かしらのSOSだと思ったほうが良い。ラストは頭の中にRADIOHEADとRAMMSTEINがフュージョンして出てきます。

この曲の終わりにブランクを置いてシークレットトラックとして『I LOVE N.Y.』という曲が入っている。
それがメタル~ネオアコを繰り返す面白い曲。
カジヒデキがスレイヤーとスタジオに入っているのかな?といった感じ。

様々な要素を入れ込むCOALTAR OF THE DEEPERS。
このアルバム『Come Over To The Deepend』を聴くと他のアルバムも聴きたくなってくる。
COALTAR OF THE DEEPERSとは、少し中毒性のあるバンドですね。

個人的にはエレクトロサウンドよりバンドサウンドが好きなのでこのアルバムがお気に入りなのですが、「ディーパーズ、ヤバイ」と思わせるようなアルバムもあります。
それはまた別の記事で。

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執筆者:Arlie

アーリー、闇属性。 猫と競馬とテキーラが好き。 音楽はロックであれば何でも聴くが、たまに毒を吐く。実はアイドルも好き。

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