「スマッシング・パンプキンズに対するイギリスからの回答」と評された1st

ウェールズ出身のグラント・ニコラス（Vo,G）、ジョン・ヘンリー・リー（Dr）に岐阜県穂積町出身のタカ・ヒロセ（Ba）からなる3人組バンド、FEEDER（フィーダー）。

97年5月、1stフルアルバム『Polythene（ポリシーン）』をリリース。
力強いベースラインとタイトなドラミングがガッチリとリズムを固定し、しゃがれたグランジ臭のするヘヴィーギターサウンドとUKらしい繊細なメロディーが絡み合う。
決してモダンでもラウドでもないヘヴィーなサウンド。
時にファズも使っているのかエグいサウンドもあり、フェイザー等空間系のエフェクトも多用し幻想的な世界も存在する。
表現として、年代的にもスマパンを引き合いに出されるのも納得できる。
『Crash』や『Radiation』はまさにビリー・コーガンの歌がハマりそうだ。

FEEDERを知ったのは2nd『Yesterday Went Too Soon』が出た99年くらい。
イギリスかアメリカのフェスで『My Perfect Day』を奏でている姿をTVで観た。

純粋に「カッコいい…」と釘付けになった。
ぴょんぴょん跳ねながらゴールドのベースを弾くタカ・ヒロセの姿が印象的だった。

名曲揃いのデビュー作

本作はデビュー以前に作成されたデモテープからの音源が中心となっており、名曲揃い。シンプルなコード運びながらも起伏に富んだ『Polythene Girl』から始まり、ほぼシングルカットできるくらいの曲で構成されている傑作である。

『My Perfect Day』は指弾くダイナミックな図太いベースラインが耳から入り脳に刺激を与える。粘り気のあるギターサウンドがさらに心臓をギュッと持ち上げるようだ。
FEEDERを初めて見た当時の映像が蘇ってくる。

『Cement』はUKロックらしいメロディー。
ブリットポップとグランジが融合したように感じる。

同年にリリースされヒットした『High』は初回版には収録されていなかったが、後に追加収録された彼らにとってとても大切な曲。
2002年に自死してしまったドラマー・ジョンの葬儀の際に流れていた曲であり代表曲の一つ。
フロントピックアップの音が幻想的に響き、「I can get high with my friends」という歌詞が胸を打つ。

個人的なフェイヴァリットは『Suffocate』
窒息状態の頭の中のような孤独感と目眩を起こしそうな浮遊感が幻想的な世界を作り出す。『Change ※追加収録版』『Tangerine』『Waterfall ※初回盤』もそうだがスマパンの『Siamese Dream』や『Mellon Collie and the Infinite Sadness』に通ずる美しさと凶暴さを感じ、結局スマパンが引き出されてしまう。

『Polythene』はFEEDERの作品の中で最もグランジ色が強い。
そんな独特な90年代サウンドは、酒とタバコがよく似合う。
後に印象の異なるアルバムをコンスタントに出しているが、それもまた面白い。
彼らの根にはグランジがあり、今も素晴らしいオルタナが開花し続けている。

ちなみにグラントがインタビューで最も好きな音は「ADA MP-1」の音だと言っていたのを覚えている。
多数の歪み音をメモリーできるラック式エフェクターで、かつてメタリカが使っていた。グラントは初期に使用しており、ラルクのKenちゃんも初期に使っていて私も使っていました。
随分前の機材なので今は使っていないと思うが、ADA MP-1とMESA/BOOGIEの組み合わせが自分らしい音だと語っていた。『Polythene』リリースから10数年後のインタビューだったと思うが、個人的にも初期のサウンドがとても好きだ。