進化を続けるバンド Zeppet Store『Cue』と『BRIDGE』
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Zeppet Store
彼らが1994年にインディーズでリリースした『Swing,Slide,Sandpit』という1stアルバムがある。
英語詞でグランジやシューゲイザーが色濃く入り混じったこのアルバムは、日本のバンドの作品とは思えぬ雰囲気を醸し出していた。
繊細だが荒々しい、サイケデリックで陰鬱さもあるのだが、キャッチーなメロディーとリフに日本人特有のポップセンスが光っていた。
しかし当時のバンドの知名度では1000枚プレスをしたのみで廃盤。(後にスペシャルエディションで再販)
それでも地道に活動していたが、メンバーの脱退もありバンドとして活動がうまく進んでいなかった。
しかし、ここでX JAPANのhideと出会う。
hideが事務所のデスクに積み重ねられていたCDを何気なく再生。
たまたま手に取った音源に「日本にこんなバンドがいたのか」と衝撃を受けたという。
それが『Swing,Slide,Sandpit』だった。
Zeppet Storeの音楽性に惚れ込んだhideは、早速彼らと接触。
そしてZeppet Storeの音楽を世に送り出すためのレーベル「LEMONed」を設立。
そこまでするハマりようと影響は後のhideの作品にも表れている。
Zeppet Storeの演奏力とポップセンスは、グランジ/オルタナムーヴメントの一つと捉えられる。
聴いているとマイ・ブラッディ・ヴァレンタインやダイナソーJrなどが頭に浮かんでくる。
この世代ならば惹かれないわけがない。
そうして96年に海外レコーディングのセカンドアルバム『716』を全米でリリース。
96年9月にシングル『声』でメジャーデビューし、97年にメジャー1stアルバム『Cue』をリリースした。
この内『声』『TO BE FREE』『SUPERSTITION』の3曲がシングルとしてリリース。
インディーズ時代は洋楽ロックにほぼ傾いていたが、メジャー1stということもあり『Cue』は日本語詞で日本人らしいポップさが強調されている。
そこにグランジ色の強いプレイが重なり、言わば個性の拡大が感じ取れた。
The Yellow Monkeyの記事でも書いたが、当時はtvk(テレビ神奈川)の音楽番組でZeppet Storeがよく流れていた。
メランコリー・希望・自由などといったキーワードを、繊細なヴォーカルに乗せ、それを多彩でサイケデリックなサウンドで包み込む。
良い意味での空虚感や虚無感を感じるとともに自然と身体中にサウンドが流れていく。
時に優しく、時に気怠く。
④「HAVE A WING」や⑨「A LITTLE FLOWER」はインディーズ時代からのUKロックを感じさせる雰囲気。
実に曇り空が似合う曲であり、カラフルな幻想が浮遊する。
⑥「声」は個人的にずっと好きな曲。ピックのアタックが聴き取れるくらいのギターサウンドがたまらなくエモい。
⑧「TO MY FUTURE」は激しさが印象的な疾走感のあるキャッチーな曲。
この頃のZeppet Storeの特徴はボンボンと響く図太いベースサウンドとリアルなミックスのドラミング、荒々しくも90年代らしいジャキジャキとしたツインギターサウンド。
シューゲイザー要素が非常に心地よく、木村世治の歌声が情景を脳裏に映し出す。
メジャーになったことでそのサウンドは表現力が増し、優しさも虚しさも色濃く表れた。
90年代のオルタナ/グランジが大好きな私にはドンピシャな1枚である。
しかしこのアルバムのリリース直前にギタリストでサウンドの要でもある五味誠が脱退。
どうやら考え方や精神的な理由らしいが、2011年にバンドに復帰している。
2005年に解散し、2011年の再結成と五味誠再加入の喜びは興奮した。
『Cue』リリース後の98年にギタリストとして赤羽根謙二が加入。
間もなくhideの死という悲劇が起きた。
バンドとその周辺で大きな変化が訪れた。
その翌年に限定リリースされたのが『BRIDGE』。
『716』に続く全編英語詞によるアルバムだ。
新たなZeppet Storeとして"らしい"選択だと思えた。
これまで五味誠のサウンドが大きな特徴であったため、ギタリストが変われば全体的なサウンドは当然変わる。
サウンドは太くなり、これまでのZeppet Storeとは大きく異なるバンドへと進化したことが明確となった。
ダイレクトなロックバンドといった印象。
決して悪くはなく、本来のUKロック感は残っておりUSの印象も感じれる。
シューゲイザー要素も残っていることに安堵感を持った。
このメンツでのシングルは既にリリースしていたが、アルバムとなるとバンドの全体像が明確に掴み取れた。
そんな中でも⑤「CALL」には衝撃を受けた。
スリリングで激情型なリフがカッコ良すぎて何度も何度も聴いた。
英語詞ということもあり、シングルで見せることのない部分が詰め込まれているようだった。
以降も良い作品を生み出していたが2005年に解散。
前述したが2011年に再結成。
五味誠も復帰しトリプルギター、さらに強力な布陣となって帰ってきた。
そのサウンドは笑ってしまうくらい最高にロックしている。
愛おしいくらいに生々しく重厚でサイケでシューゲイズされている。
初期の変化から進化を遂げ、その中身は恐ろしいほどにエグく混ざり合っている。
初期を聴いた後に2013年の「SHAPE5」をまずは聴いてみて欲しい。
何とも楽しませてくれるバンドである。
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