美と轟音の幻想世界 ─ Smashing Pumpkins / Siamese Dream
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Siamese Dreamでのスマパンサウンドの確立と商業的成功
1988年にアメリカ・イリノイ州シカゴで結成されたSmashing Pumpkins。
91年にデビュー。
1stアルバム『Gish』はインディーズシーンではそれなりの評価を受けたが、当時はグランジブームの真っ只中。
チャートでは際立ったアクションは起こせず、93年プレッシャーを感じつつ発表したのが2ndアルバムの『Siamese Dream』。
これが世界的にヒットし、今も名盤として語り継がれる作品となった。
Smashing Pumpkinsの曲は”静と動”、”美しさと激しさ”という両極端な要素が神秘的に調和している。
無骨に荒々しく感情を表現するバンドが多い中、Smashing Pumpkinsは確かなプレイとサウンドで静と動をドラマティックに展開し個性を表現してきた印象がある。
メロディアスな旋律にギュワンギュワンにファズをかけたギター。
歪みながらも心地よいギターアンサンブル。
ダイナミックで手数の多いドラミングも相まって轟音が形成される。
と思えば美しいアルペジオに叙情的なメロディー。
紅一点のベーシスト・ダーシーは安定した図太いラインでボトムを支える。
この見事な混在がバンドとしての強烈な個性となりバランスを確立させ、『Siamese Dream』という大出世作を作り上げた。
①『Cherub Rock』はドリームポップでシューゲイザー、MVはサイケデリック。
音楽業界への不信・不満を歌っていると言われているがSmashing Pumpkinsのアンセムとも言える曲。
スネアロールから始まる印象的なイントロは他バンドとは一線を画すアレンジ力とセンスを放ち、秀逸なファズ系オルタナティヴの世界へと誘ってくれる。
テンションは急速に上がり、気がつくと頭を振って夢中になっている。
事実、いい年になっても未だにそうなのである。
たまらない。
ちなみにデビュー前のDragon Ashがメンバー募集をしていた際の文言に「スマパン、レッチリ好きなベーシスト募集」みたいな投稿を雑誌にしており、その後、Cherub Rockの邦題でもある『天使のロック』という先行曲が入ったミニアルバムでデビューをしている。
さらにブレイク直後のアルバム『Buzz Songs』には『Cherub Rock』という曲があり、またまたさらにシングル『Grateful Days』では③todayのイントロをサンプリング、またまたまたアルバム『Harvest』内の『Canvas』という曲ではスマパン3rdアルバムの名曲『Tonight,Tonight』のリフを聴くことができる。
降谷建志はそれだけスマパンが好きで影響を受けたのだろう。
ヘヴィなギターリフが特徴の②『Quiet』⑧『Geek U.S.A』⑪『Silverfuck』。
ギターとベースのユニゾンは今となっては当たり前にあるが、Smashing Pumpkinsは独特な歪みサウンドと地を這うようなリフが定番。
ここにビリーの粘りっこいギターが絡みつくのがカッコ良い。
ジェームスとダーシーという一見控えめに見えるメンバーがゴリゴリにヘヴィな曲を演奏しているのはギャップ萌えするポイントでもある。
ちなみに⑪『Silverfuck』は2000年12月に行われた解散ライヴの最後に演奏した曲。
③『Today』はライヴでは大合唱になるSmashing Pumpkinsの代表曲のひとつ。
後世に影響を与えた歴史上の重要な一曲と言える。
93年にこの曲が発表されたことはオルタナ界に大きな影響を与え、このMVは様々なメディアで取り上げられた。
強弱の変化によって印象がガラッと変わるビリーコーガンの歌声が非常にバランス良く曲を形成しており、スマパンの曲の中でも非常にポップな位置付けにある。
解散ライヴの1曲目に演奏された⑤『Rocket』はとても大切にされてきた曲。
ジェームスが16年振りにSmashing Pumpkinsのステージに参加した際も演奏された。
個人的にはとてもアメリカらしさを感じる一曲で、重厚なサウンドのサイケポップロックが日本人には無い感覚とセンスだと思える。
⑥『Disarm』は同アルバムからの3枚目のシングル曲。
ビリー曰く「両親に対する復讐の曲」らしく、怒りを直接ぶつけるのではなく美しく表現することが効果的だったと述べています。幼少期に味わった苦しみがこの曲のテーマとなっており、痛々しい苦しみを読み取ることができます。
このアルバムの大半を占めるのは浮遊感のある独特なスマパンサウンド。
激しさの中にそういった要素が含まれているが、⑦『Soma』や⑬『Luna』という大々的に空間系が強調された幻想的なサウンドはまさにスマパンの真骨頂。
このドリーミーな世界観がスマパンの存在感を際立たせた。
ジェームスとビリーの共作⑨Mayonaise。
ジェームスの変則チューニングで奏でるアルペジオとビリーとのアンサンブルは、非常に美しくも儚い旋律で心をグッと鷲掴みにされる。美しくも激しいサウンドの渦の中でのギターユニゾンが心地良い。
「I just want to be me」とビリーにしては純粋な歌詞を歌い叫ぶパートは何回聴いても鳥肌が立つ。
タイトルは適当に決めたらしいけど…。
ミディアムテンポの曲でも孤独や悲しさ・寂しさを伝えるわけではなく、どこか上の空の不思議な空間で遊んでくれよと伝わる感覚がある。
「別に共感なんて求めてないよ、好きだからやるだけだ。」と言っているよう。
Foo Fightersのデイヴグロールも言っていたが、まさにそれがロックだと思う。
そうでなければ『Siamese Dream』のような作品は生まれなかった。
後に「ロックは死んだ」と言っていたビリーは、怒りや悲しみ・楽しみとか単純な思いを伝えるのではない、独自の音楽像を追求した。
そして「音楽は世の中のデタラメに打ち勝つ」とも信じていた。
しかしNirvanaの成功で商業的なバンドが増えつつあるオルタナ/グランジシーンを全否定するかのように音楽に限界も感じていたという。
『Siamese Dream』の商業的な成功と共に、終わりのない悲しみを感じ始めていたのだろう。
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